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歯を使って視力回復?世界のスゴイ移植技術

視力の回復に歯医者さんが協力いていたなんて・・・どうしてなのかあなたは想像できますか?オーストラリアの男女二人が受けた視力回復手術は、歯を使ったなんとも不思議な手術でした。移植や再生医療はここまで進んでいます。眼下の視力回復手術に協力できる歯科医療とはどんなものなのでしょうか。視力回復に使われた歯科の移植技術をご紹介します。

レンズを作るあなたの歯

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オーストラリアの東部ゴールバーンに住むジョン・イングスさん(男性・72歳)と北東部ケアンズに住むレオニー・ガレットさん(女性・50歳)は角膜の障害が原因でほとんどものが見えなくなり、このままでは視力回復は絶望的でした。イングスさんは後に「このままではもう何も見えなくなってしまうのだろうと思っていた」と語っています。

この二人が選んだ手術が、なんとも不思議な手術でした。その内容とは、まず最初に歯を抜いてその歯に穴を開けます。その中に角膜に移植するプラスチック製のレンズを埋め込んで、その歯は本人の頬の内側に縫い付けます。このまま3か月待ち、その時期が来たらまた歯を確認して、抜かれる前のように歯が自ら再生して組織を作ることができるようになっていたら、レンズを眼球に移植します。

このようにして長い期間をかけて視力回復手術は終了しました。自分の歯を使うため移植に関しての拒否反応はなく、二人の視力は順調に回復したそうです。このような歯を使った視力回復手術はオーストラリアでも南半球でも実はこれが初めてでした。

ここでたくさんの「?」が出てきますね。どうして歯を使うのか?歯に埋めた理由は何か?歯を頬に縫い付けたのはどうしてか?ひとつひとつ解明していきたいと思います。

移植技術の進歩

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無事にこの不思議な手術を終えて視力が戻った二人の患者さんは大喜びだったことでしょう。視力というのは、何よりの情報源であり、楽しみにもなっているからです。食事も目で見て楽しみますし、雑誌の記事も情報の取得だけでなく、写真やイラストや文字の感じを見て楽しんでいるからです。何より大好きな家族の顔を見られないのはつらいことでしょう。

しかし手術の説明をされたときに良く理解できたなと感心します。初めてで例がなく複雑な手術だからです。この手術の不思議に感じるポイントをいくつか挙げていきましょう。

白内障のレンズみたいに直接埋め込めば良いのでは?

このような意見はインターネット上でも多く見られました。簡単に言えば、これがベストではなかったのでしょう。白内障のレンズは焦点が固定されているので、この二人の目に適合されなかったのかもしれません。もちろんこの方法で回復する人も大勢います。

レンズを歯に移植するのはなぜ?

これは文章だけ読んでいると誰しもが「ん?」と思ってしまうところですね。まず、歯や周辺の組織は一度抜いてしまっても組織を自ら回復することができるのです。これを利用して歯牙移植を行っています。この機能を他の分野で利用したのが今回のレンズ移植です。歯髄にある歯胚という部分は、幹細胞組織であり、何にでも分化する能力があるのです。つまり歯でなくても良いということなのですね。

患者さんの角膜は、人工の角膜とはそのままでは馴染みません。拒否反応が出る可能性がありました。このため抜いた健康な歯の歯根部分に角膜インプラント(歯のインプラントではありません)を埋め込んで頬の内側に縫い付けることで、歯根という自分の組織を使った人工角膜移植片を作ったのです。皮下に埋め込むことによって、ここで歯に栄養が行き角膜インプラントを育てていきます。移植しても良い頃になったら取り出して、手術により角膜に移植を行ったのです。

インターネット上でも話題となっているこの手術は、清澤眼科医院のホームページ清澤眼科医院通信でも説明されています。眼科業界でも歯科業界でも注目の手術でした。
http://blog.livedoor.jp/kiyosawaganka/archives/54728604.html

歯に埋めた理由とは

歯に埋めて角膜インプラントを作るためという理由は分かりますが、この方法が有効なのは角膜が混濁しているだけだからであり、角膜の機能全てを失ってしまっている症例ではないからです。しかし普通の角膜移植よりもこちらを選んだのはどうしてなのか?真相は発表されていませんが、この人工レンズが通常の移植レンズよりも長い期間の実用に耐えられるからではないかとの見解があります。

歯のスゴイところ

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このような手術に歯が利用されるのは、歯の持つ力や特徴が有効であったことからです。人体の中で歯は骨と並んで硬さのある組織だと言われています。角膜レンズはそのまま移植しても異物と身体が勘違いして拒否反応してしまいます。しかし数か月も安定して置いておけるような体の組織は難しいのです。肉ではぶよぶよして動いてしまうし安定しません。そこで考え出したのが歯なのです。身体の中で、硬さがあり厚みがある。さらに摘出しやすいのはまさに歯だけではないでしょうか?

歯を目に入れるの?と思った方は違いますよ。歯はあくまで角膜インプラントを保管しておくゆりかごのようなものです。しかしかなり頑丈でしっかりと守りながら育ててくれます。そのゆりかごを置く場所が頬の内側だったのです。ちょっと分かりにくいですよね。

このような手術はオーストラリアだけでなく、アメリカでは以前から行われていました。例えばマイアミ大学のバスコム・パルマー眼科研究所の例です。ここではシャロン・ソートンさんの角膜移植を行いました。ミシシッピー州に住んでいるシャロンさんは、2007年頃からスティーブンスジョンソン症候群にかかり、視力のほとんどを失っていました。人工角膜移植をしてみたものの、拒絶反応があり手術出来ずにいたそうです。

マイアミ大学のこの研究所では、医師たちが歯を用いた角膜の移植手術を行いました。まずシャロンさんの、前から3番目の歯である犬歯を周囲の骨組織ごと取り出します。穴をあけて光学レンズをそこに埋め、形を整えて頬の内側か肩の皮下に移植して様子を見ます。歯の組織が回復する過程でレンズとしっかり結合していればOKです。この結合までには2か月ほどかかったと言います。そして結合が確認されたら、歯ごと取り出しその中のレンズを取り出して形を整えます。問題なければ眼球の真ん中に移植します。このようにしてシャロンさんはなんと2か月後には新聞を読めるまでになったそうです!素晴らしいですね!

けっして目が歯周病になったり、口を開けてものを見たりしているわけではありませんのでご注意を。歯の持つ力は、抜いて別の場所に移植しても発揮されることが分かりますね。もはや別の生命体のようです。この方法で「オリジナルの角膜」が作れたわけですが、小さな組織であればipsのように人工的に組織を作れるのかもしれません。こういう時のためにも・・・というわけではありませんが、歯を健康に保っているのは自分の全身を助ける事にもなりますので、歯のお手入れは毎日頑張って行いましょう。

まとめ

いかがでしたか。日本では特に歯科と医科は仲が悪く互いに情報交換を行って共同で作業をするのはつい最近になってからのことです。年配の歯科のドクターは医科を嫌っている先生すらいるようです。しかし医療の進歩で歯も歯以外も大事な体の一部分であり、協力して治療が行えることが私たち患者側の人間にも知られることとなりました。ぜひこのような研究を積極的に行って、進歩していって欲しいですね。

関連サイト

http://getnews.jp/archives/1541927
http://blog.livedoor.jp/kiyosawaganka/archives/54728604.html
http://www.asahi.com/articles/ASK4K21QSK4KUBQU001.html

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