ドラッグストアに行けば棚にいくつもの種類が販売されている歯ブラシ。日常になくてはならないものナンバーワンの道具です。ではその身近な歯ブラシの歴史を知っていますか?いつから使われているのでしょうか?そんな身近でありながらよく知らない歯ブラシの歴史についてご紹介します。
歯ブラシの元祖は楊枝?
今でこそ持ちやすく磨きやすい機能的な歯ブラシがたくさん出ていますが、昔むかしは今のような歯ブラシではありませんでした。古来の歯ブラシは楊枝でした。つまようじではなく、房楊枝と呼ばれており、木の枝の先を嚙み砕いてブラシのようにほぐして歯をこすっていました。
いつから歯みがき習慣が始まったかは分かっていません。しかし釈迦が仏典に記していることから、そうとうな昔から使われていたことがうかがえます。アメリカ歯科医師会によれば、世界最初の歯ブラシは中国の皇帝が1498年に豚毛を骨に植えつけて歯を磨いたものなのだそうです。現在も豚毛の歯ブラシがありますので、今の形に近いもののようですね。また、古代エジプトの墓にも埋葬品の中に当時の歯ブラシが含まれている物が発見されています。あの世でも歯みがきできるように・・・との願いが込められているのでしょうか?
禅僧の道元が歯ブラシの習慣を記しており、歯を磨く習慣は広く根付いていたと伺えます。日本も他の国と違わず、現代の歯ブラシが普及するまでは房楊枝を使用していました。ライオン株式会社の前身である小林富次郎商店が大正3年に発売した「萬歳歯刷子」は現在の植毛歯ブラシの元祖と言われています。その後1938年にはデュポン社がナイロン製の歯ブラシを発売してその後一般化しました。
歯ブラシの近代史
ヨーロッパにももちろん歯磨きの歴史はあります。最初は馬や鳥の羽が使われていたそうですが、硬さが足りないためあまりメジャーではなかったようです。しかし1770年にイギリス人の男性がシベリアや中国からイノシシの硬い毛を輸入して歯ブラシを作ることを思いつきました。このことで歯ブラシの大量生産が始まりました。この大量生産を行った会社は今でも歯ブラシ事業を展開している大きな会社となっています。
この頃はまだ3列植毛ではありませんでした。しかし売れ行き好調で歯ブラシの開発が盛んになり、様々な発明がされるようになりました。1844年には植えつけた毛の束を3列に並べて作られた歯ブラシが考案され、発明した男性が特許を取得しました。その後第一次世界大戦ではプラスチック製の取っ手の歯ブラシに変化していきました。
現代の歯ブラシ事情
現代の歯ブラシはかなり機能的で、様々な種類が販売されています。ドラッグストアではコーナーも広く、どれを選んだら良いか迷ってしまうほどのたくさんの種類が出ています。3列植毛の歯ブラシ以外にも、ワンタフトブラシ、2列植毛ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシなどのたくさんの形のデンタルグッズが出ています。
昔よりも確実に歯のケアが出来るようになっています。しかし虫歯が激減することはなく、歯の痛みや歯周病により歯を失う悩みもまだまだ溢れています。国によって口腔疾患対策は様々ですが、道具がたくさんあれば予防できるというのはどうやら違うようですね。
食べ物にあふれている現代では、何時間にも渡るだらだら食いで口内環境を悪くしてしまっています。使い方によっては虫歯や歯周病予防に有効的なグッズがコンビニでさえたくさん売られているのです。この状況は現代病と言っても過言ではないようですね。
口腔疾患を他人のせいや何かのせいには出来ません。昔も今も虫歯は歯周病は細菌感染によるものです。親の遺伝や歯ブラシや体質や歯磨き剤のせいではありません。現代人なら溢れる道具の中から有効なものを選び、それを生かして生活しましょう。情報も道具も溢れています。昔の人の知恵に感謝しつつ、最大限にそれを生かせれば完全に予防できます。せっかくの文明の利器です。何より自分のために有効に使って行きましょう。