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震災の時、お口の環境はどうなるのか?

3月は2011年の東日本大震災があった月ですね。春先になると思い出す、という人もいるのではないでしょうか。震災から学ぶものとして日頃の備えがあります。もしものための準備をしていますか?今回は東日本大震災ではなく、1995年の阪神淡路大震災を目の当たりにした歯科医師の言葉から、震災で想定されるお口の環境について考えていきます。

阪神淡路大震災とは

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阪神淡路大震災とは平成7年の1月17日に兵庫県南部で起こった大地震を指します。震源は淡路島北淡街野島断層で、マグニチュード7.3という大規模なものでした。この規模の災害は1923年の関東大震災以来の甚大な被害と言われています。もう知らない世代も多くいることでしょう。

発生時間は早朝の5時46分でした。早朝であるがゆえに、寝ている人が多くいたのは想像に難くないでしょう。特にお年寄りは、まだ入れ歯を入れていない人が多かったのです。いつものところに置いてある入れ歯、コップの水に浸けてある人は洗面所かもしれないし、居間のテーブルかもしれない。ケースに入れている人もいます。あまり枕元に置いている人がいない物であるがゆえに、これを取りに向かえず大きな揺れと混乱の中で無くしてしまった人が多くいました。

ささいなことの様に聞こえるかもしれません。しかしそれは歯があるからです。歯が無い人がどんなに不自由で不健康であったか、阪神淡路大震災を目の当たりにした歯科医師がブログで語っています。

ある歯科医師の話

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岡崎先生は歯科医師で、阪神淡路大震災では大学からの派遣で被災地へ赴き、避難所を回っておられました。これは岡崎先生がサイト内の自身のコーナーに書かれていることです。以下引用します。

ある避難所での話。
ごみ箱には、弁当のハンバーグが捨てられているのが目についた。お年寄りの方が、食べないで捨てていかれるそうである。
どうして食べないのだろうか?濃い味付けには、慣れていないからか?それとも食べ慣れていないからなのか?

実は、その理由。噛むことができなかったのだ。
ハンバーグは、現代日本の軟食文化の代表だと思っていた。
多くの歯を失っても、これなら噛めるだろうと思っていた。
ところが・・・・である。
ハンバーグの脂は、寒いと固まり、歯の弱い方は食べることができなかったのだ。
おにぎりが凍り、焼きおにぎりにして食べたという話もある。

ハンバーグというと、より柔らかくジューシーで脂がのった肉料理ですね。子供からお年寄りまで誰もが大好きで、お母さんの作ったハンバーグは思い出になるほどの家庭料理の代表です。しかしそんな柔らかいハンバーグが硬くて食べられないなんて考えにくいでしょう。一枚肉ではないのです。

でもそれは、歯がある人が考えることです。柔らかいか硬いかは、たいていの場合歯がある人が決めています。歯がないということは、それだけ食べ物への感覚も基準も大きく変わってくるのです。当時はまだ若者が多く、歯のある人も多かった。だからこの苦労は理解されにくく、大変な思いをしたのだと想像できます。

そういえば、倒壊した自宅へ最初に戻ったとき、まず義歯を捜された方が多いと聞く。
最初に捜すものは、お金や銀行通帳等の貴重品ではないのだろうか?
考えてみれば、私はメガネをかけている。
メガネがなければ、生活に支障をきたす。
お金や通帳を捜すためには、まず眼鏡をかける必要があるのだ。
震災が早朝に起きたため、義歯を外して寝ておられた方は、そのままの状態で避難された。
まず義歯を捜された理由。義歯がなければ食べることができないのだ。
まさにそれは、生きるための道具であったのだ。

このように綴られています。書かれているように、めがねに例えると分かりやすいですね。めがねがなければ、目の見えない人は動けません。まったく見えないわけではなくても、自由に動けず、運転もできず、視覚的な情報も多く得られません。

しかし入れ歯の人は同じ様であっても一つ大きな違いがあります。それは、命に関わるという事です。食べられなければ生き物は死んでしまいます。避難所は日常生活では考えられないほど不自由で、特に栄養が偏りがちになってしまいます。取れる栄養がさらに限られる中で歯がないということは、著しく体力を低下させてしまいます。

避難生活を乗り切るには、気力と体力が必要です。ストレスが溜まりますので出来るだけ元気な心と、栄養を取って自宅の片づけなどをする力を出せる身体、その両方がなくては難しいでしょう。食べられないということは体力が衰えて肉体が弱るうえに、食べる事で得られる幸福感や満足感を普段通り得られないというストレスをもたらすのです。

これは歯がなくなって初めて分かることなのでしょう。今歯がある人にはなかなか分かりにくいことですね。歯を探すということは、今後の命をつなぐ大事な体の一部を探すということなのだと分かります。

長く続く避難生活

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避難生活が長く続いた場合、当然亡くなる人が出てきます。朝起きたら目を覚まさない人もいます。そんな話もありました。

「乾パンを食べていたら、前にお年寄りが座っていました。
パンを食べられないので、”まだどんな事態になるかもしれないから、無理をしても食べておかれた方がいいですよ”。と言いました。
ところが返ってきたのは”歯が弱いので食べることができない”との言葉でした。
後で考えたら、そういった方から先にダメになっていきました。」

食べるということは生きる事です。「このような事態にならないために歯を残そう」と言ったところで現実味がないかもしれません。しかし確実に人間も動物であり、食べられなければ想像できないスピードで死が近づいてきます。歯で噛んで食べられるということは、当たり前のように小さい頃から行ってきた行為ではありますが、心にも体にも恩恵があるのだと実感させられます。

そして忘れてはいけないのは単純ではありますが、ぜひとも入れ歯やめがねは枕元に置いておきましょう。履物もそうです。食べ物を備えていても食べられなければ意味がありません。けっして忘れずに置いておいてください。

参考サイトは「歯の健康と美容に関する総合情報サイト 歯のページ」内にある「Dr.岡崎のおもしろ歯学」の「No.22. 震災に学ぶ歯の話」です。http://www.teeth.co.jp/shigaku/article/08072127000076.html

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