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口と全身の関連

食育と歯科の深い関係

最近では食育という言葉を頻繁に聞くようになりましたね。教育の現場だけでなく、地域やスーパーマーケットなどのイベントでも使われるようになってきました。私たちが当たり前に行っている「食べる」という行為。これがどのように私たちに影響するのか?歯科との関わりとはどんなものか?ご紹介します。

食育とは

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日本では近年、食べ物や食べ方を見直そうという活動が増えてきています。不規則で偏った食事が健康的な生活を乱している、とされているからです。貧困が増えインスタント食品が多くなり肥満が増える一方で、特に女性の痩せたい願望が加速し過度の痩身思考が高まっています。そんな国民の問題を、国が緊急性を要する問題として取り上げるようになったからです。

食の安全はもちろん、食料を海外からの輸入に頼ってばかりいること、国民の健康な生活や豊かな人間性を育む一環として食生活が大事である、こういった個人の活動に関係なく食べることに関すること全てで問題とされること、これが国が考える課題です。

国は、食育と国民についての基本的な考え方をまとめた「食育推進基本計画」を平成17年に施行しました。この中には数々の目標が掲げられています。例えば

  • 朝食または夕食を家族と一緒に食べる回数を1週間で合計10回以上行う。
  • 朝食を欠食する国民の割合を、子供は0%に、20~30代の成人は15%以下にする。
  • 栄養バランスを配慮した食生活を送っている国民の割合を60%以上にする。

などです。特に良く噛んで味わって食べるという食べ方に関心のある国民を増やしたいとする項目もあります。これは当たり前のように感じるかもしれません。忙しい時は食べることすら難しいと感じても、時間があれば誰でもできると思ってしまう項目ですね。ですがこの背景には、仕事等の時間に追われずに余裕をもって食事をするようになること、噛むために使われる口腔機能が充分発達していること、味わうための心の余裕があること、食べ方を知っていることなどが隠れています。

これは子供であっても老人であってもすべての条件を満たすのは難しくなっているのかもしれません。特に口腔内の問題は、口腔内が健康でありその健康を維持出来なければこの目標は達成できないのです。ただ食べると言っても、背景は大変大きく、抱える問題も大変に大きいものとなっているようです。

歯科から食育を推進する運動

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歯科保健活動から食育に関わる活動としては、有名な「8020(ハチマルニイマル)運動」があります。これは、80歳までに20本の歯を残そうという活動です。食育と関係ないように思っている人も多いのですが、歯を残すということは自分の歯で食べようということ。これも立派な食育推進運動なのです。

他にも、一口で30回以上噛んで食べることを目標にする「カミングサンマル」という活動もあります。子供であっても老人であっても、しっかり噛むことで食物の持つ栄養を吸収しやすくなり、大きな食物を飲み込むことで誤嚥するのを予防する活動です。食べ方の支援なども行う国の活動のことで、これは独立したものではなく食育を推進するための一助となっている活動です。

噛ミング30(カミングサンマル)の活動の中で、食育を3段階のステージに分けて行うものとされています。

  • 食べ方を育てる乳幼児期や学齢期の食育
  • 食べ方で健康を維持する成人期の食育
  • 食べ方で活力を維持する高齢期の食育

歯科が関わる時はこれら各ステージに合わせた食育を進めていけるよう基本方針の中でも期待されているのです。

食べ方で健康を考える

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食べ方で健康状態が変わる。こう聞くとどんな特殊な方法なのかと「健康法」のような想像をしてしまいます。しかしそうではありません。そもそも食べるという行為は、食物のもつ栄養を消化吸収するだけではないのです。しっかり噛むことで口腔内の感覚が脳に伝わり、脳がそれによって広範囲で活動を行います。つまりしっかり噛むことは脳を使うのです。使うということは発達するということ。食べ方によって脳の発達が違ってくると言えるのです。

食べるという行為は、他にも様々な変化をもたらします。例えば、唾液や消化液、免疫物質を分泌させる生理機能への影響。平均感覚を養ったり力を作ったりする運動機能への影響。呼吸をスムーズにしたり表情を作る筋肉を作る口腔機能への影響。美味しく味わったりストレスの発散やリラックス効果を生む精神への影響。生物の基本的な能力である、異物や危険物を察知して認識する安全性への影響。

ただ一口食べることがこれだけの影響を及ぼします。これらの機能がしらずしらずに発達しているおかげで、私たちはつつがなく食事が出来るのです。食育とは、食事で全身を育てることでもあるのですね。

食育は、やがて全身の問題へ

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成人になるとメタボリックシンドロームの可能性が出てきます。食べ過ぎにならないよう適量に抑える方法として、よく噛むということが挙げられています。良く噛むということは、噛める状況が大前提。歯の健康が大前提なのです。

噛まないで早食いしてしまうのではなく、「繊維が多い」「脂っぽい」などの食物の特性によって噛み方を変える方法を考えます。そして、しっかりよく噛んで心にも体にも満足の得られる食べ方を学ぶ。それが大人の食育なのです。

そして年齢を重ね、高齢期に入ります。高齢期に多いのは「誤嚥性肺炎」です。肺炎は日本人の死因第3位ですが、そのうちこの誤嚥性肺炎が占める割合が近年非常に高まってきています。高齢者の誤嚥性肺炎は命に関わるのです。

誤嚥性肺炎は口腔内のケアが大事なのは言うまでもありません。口腔内の細菌を飲み込み感染することで死因へとつながるからです。ケアを定期的に行うとともに、食育の観点からも予防を行います。

しっかり噛むと共に、ゆっくり噛んで味覚を刺激します。咀嚼は脳の刺激にもつながることから、ゆっくり味わい「これは硬い?水っぽい?甘い?」などの五感を引き出しながら食べるのが大事です。ゆっくり噛むと食べ物が潰れ誤嚥しにくくなるとともに、唾液の分泌が盛んになり飲み込みやすくなります。

唾液の力は飲み込んだ後の口腔内の自浄にも役立ちます。細菌を洗い流すことで虫歯予防にもつながります。口腔機能も保てるので噛む力が衰えにくくなります。そうすることでさらに入れ歯になりにくくなるのです。

もちろん入れ歯による噛み方の指導も歯科では行います。入れ歯の悩みであるドライマウスの改善や、入れ歯での上手な咀嚼の仕方など、出来る範囲の食べ方に合わせて食事の形態を変化させていきます。これは歯科医院だけでなく、栄養士も関わって行われます。

このように「食べる」ということ一つで、体のあらゆる部分に関わってくるのです。食べること、噛むことを侮ってはいけません。近年柔らかい食べ物が増え、食べるのが楽になってきましたが、楽なことが体にいいことでもないのです。噛むことで得られる機能を知ることで、一歩進んだ健康を意識できます。

まとめ

いかがでしたか。食育はいかにも専門的なようで自分と関係ない様に思っている人が多くいます。しかし、生まれてから死ぬまで食べ続ける私たちは、食べる事でこの肉体を維持しているのです。そう考えると、食べる事の最前線に立つお口の中は、その機能を維持していかなければ身体を支える事が出来ませんよね。美味しく食べる事は健康になること。心のためにも体のためにも、美味しく食べる毎日を目指しましょう。

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